この度、gallery COEXIST-TOKYOは、マレーシア、クアラルンプールの中心街に2016年10月よりリニューアルオープンした、「ISETAN The Japan Store」にて、A-taro、KOHEI、Masayuki Tsubotaの3人の美術家をご紹介する運びとなりました。本展示では、「ISETAN The Japan Store」のコンセプトに乗せ、日本人ならではの感性、技術、表現を、今、最も活気あるアジアの都市、クアラルンプールから世界に向けて発信します。
日本人が「美」を感じるとき、それは、物体そのものの美しさを見ていることはもちろん、その物体の持つ「気配」をも「美」の判断基準としています。つまり、ものの持つ「色」「形」だけでなく、そこから発せられる「気」のようなものを表現することは、日本の伝統的な「美」を形作る上で不可欠な要素と言えるでしょう。
「気配」という抽象性は、自然の中にあります。3人の作家は、自らの考えや手業のみで仕上げるのではなく、素材そのものを生かし、人智を超えた自然の力、自然に生まれた形や色を取り込むことで、「色」「形」に加えた「気配」をも表現しています。
A-taroは、作品に和紙や陶土の質感を生かした作品を制作しています。和紙の両端の、繰り返しながらも少しずつ変化していく焦げのパターンは、生命が生命を生む自然のシステムを想起させ、命が持つ「気」を感じさせます。
KOHEIは、炭を使用した作品を展開。炭の「黒」は同じ「黒」であってもひとつひとつ違い、白から黒へ無限の諧調を見せます。
Masayuki Tsubotaは、木材の表面を削ることで柔らかな陰翳を生み出し、渋みのあるマットな和色と金属の鈍い光を組み合わせます。そこにシンプルな形態が与えられることで、現代的な作品へと昇華しています。
ダイレクトな表現ではなく、抑制が利いているからこそ生まれる「気配」、それを支える素材の色と形、日本人が生み出す繊細な美の世界をお楽しみいただければ幸いです。