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Continuous Temporality Vol.2 『Mortal』 万代洋輔 片山真理 野村在

UP

この度gallery COEXIST-TOKYOで、昨年に引き続き2度目となるグループ展『Continuous Temporality vol.2-Mortal-』を開催する運びとなりました。
今回は万代洋輔、片山真理、野村在の三人展として開催いたします。

万代洋輔はある特定の森や空き地などの場所に行き、そこで手に入る人間の痕跡を積み上げた「もの」を撮影してきました。それらは、たとえ人間が写っていなくとも、そこに人間の営みや虚無的な不在性がつきまとって離れない、がゆえにそこに居たはずの人の気配が垣間見え、依り代や祭壇のような存在感を放ちます。

片山真理は自らの身体と、手製の刺繍やパッチワークが施されたオブジェなどを用いたポートレートや、私的な物語に基づいて作られた立体物を発表しています。生きる事の美しさと脆さが同居したような作品群は、鑑賞者に様々な感情や感覚を強く訴えかけてきます。

野村在は小型の爆弾で爆発を起こした瞬間のものを撮影したり、樹脂が壊れながら生成してゆく彫刻などを作っています。ものの運命としての生成と劣化、今その瞬間に移ろいゆくものの状態を、彫刻と写真を手段として固定化しようと試みているようです。

写真作品という共通的なベースを持つ3人ですが、それぞれに独自のアプローチをもって制作を続けている作家たちです。
是非ご高覧下さい。

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ここ最近、他者の悲しみや喪失感にCheesy(cheepでeasy)に反応し、安易な悲しみに身を委ねるようなことをよく目撃する気がする。
誰かのブログの『ちょっぴり悲しい、いい話』をSNSで流布して他者の悲しみを受け売りしてみたり、ある知人や著名人が亡くなった記事を即座にシェアしては『R.I.P』や『ご冥福をお祈りします』という決まり文句を残して去って行ったりしてしまうような。

こういった行為の裏を返すと、事の当事者でしか分からないような生々しい出来事や痛々しい傷に関わりたいのではなく、「直接関係はないけど、遠過ぎはしない喪失感」に身を任せ、ちょっぴりその悲しみだけをいただくという、お手軽で安価な感傷への希求があるのかもしれない。
こういった現象は、ネットの発達により広がった緩い繋がりの上で、死や喪失感すらも実在感のない簡略化された消費対象となってしまったかのように見える。

一方、アートの歴史では、このような「死」や「喪失」にまつわる表現は数多く出現してきた。例えばヨーロッパでは、中世にはメメント・モリのヴァニタスのように「今の生を愉しむ」ために死をテーマにした絵画が流行り、またダゲレオタイプの写真機の発明以降では、家族の遺体を生きているかのように撮影するポストモーテム・フォトが流通した。そういった人々の死への興味の裏側にはキリスト教的な、不死の存在である神々<Immortal>に対する影響が色濃く現れているとも言えるだろう。ヨーロッパでは「死」とは肉体から魂が切り離される、ある種の「別次元」の世界であったのかもしれない。

その一方、日本では、江戸時代に有名な歌舞伎役者の死んだ際には世間にその役者の死絵が多く出回ったり、北斎や国芳を始めとする浮世絵師らは髑髏(しゃれこうべ)などを用いた寓話的な浮世絵を描いて、社会に対する不安や批判を暗に表現したりもしてきた。今も昔もこの国では、メディアは違えど人々は様々な形で個人的な痛みや恐怖を、他者と半ば愉悦的に共有してきたように思う。それはヨーロッパ的な死生観とはまた違う、死も生も同じ地続きにあるものと感じていたようにも思える。

では現代の社会に生きる我々にとって、このような限りある命や物のあり方に向き合う表現は、前述したCheesyな安易な悲しみの同調や、過去に試されたような死生観の表現とどのように関わり、またどのように違って見えるのだろうか。

今回は現代における有限の生<Mortal>というテーマを基軸にそれぞれの作品を展示する。これらの作品は、一見するとネガティブなイメージに捉えられるかもしれないが、その奥には自分たちの制作の根源を、もしくはある種の命の輝きを強く求めているようにも思える。それとも、ここでもやはり作品は簡易的な「喪失感」にゆるりと埋没してしまうものなのだろうか。
どちらにせよ、世界が安易で平坦なメッセージで溢れている時にこそ、ネガティブで多様なイメージは輝きを増し、人に新たな命の価値を提示できるのではないだろうか。

野村在

 

OPENING RECEPTION 10月3日(土)18:00 – 20:00
作家3人によるトーク(予約不要) 10月17日(土)17:00 -

 

経歴________________________________________________________________

万代洋輔 Yosuke Bandai

1980 東京都に生まれる
東京にて制作、活動

 

[主要個展歴]
2015
「通行人間」CAPSULE,東京

2014
「あばら骨しか信頼してないじゃないですか俺」TARO NASU,東京
2012
「病める万代、無類無敵の情熱」アイコワダギャラリー,東京
2009
「RADICON」ヒロミヨシイ,東京
2007
「reunion」ヒロミヨシイ,東京
2006
「High atomospheric pressure」BankART Studio NYK MIHO KANNO,横浜

 

[主要グループ展歴]
2014
「I’m hungry」STEAK HOUSE DOSKOI,東京
2012
「New Gallery x New Artists x New Works」アイコワダギャラリー,東京
2011
「MAGIC BLACK」ヒロミヨシイ六本木,東京
「A Midsummer Night’s Dream」ヒロミヨシイ六本木,東京
2009
「Hello! MIHOKANNO」トーキョーワンダーサイト渋谷,東京
「SECRET PHANTOM II」トーキョーワンダーサイト本郷,東京
2008
「ETRO ART CIRCUS」代々木オリンピックプラザ,東京
「FAXINATION」LOYAL,ストックホルム
「Vrishaba through Mithuna」ヒロミヨシイ,東京
「New York Photo Festival」70 Front Street Gallery,ニューヨーク
「After the Reality 2」Deitch Projects,ニューヨーク
2007
「SECRET PHANTOM」MAGIC MOOM?,東京
「THE EXPOSED/LIFE OVEREXPOSE」CASO,大阪/PUNCTUM,東京
「WORM HOLE episode MIHOKANNO」magical ARTROOM,東京
「tinyvices」colette,パリ/ The Gallery Soho,ロンドン/Proyectos Monclova,メキシコシティ
/White Flag Projects,セントルイス/La esquina Gallery,カンザスシティ
2006
「tinyvices」Studio Bee,東京
「THE EXPOSED/the other side」ARTZONE,京都

万代洋輔 “untitled (蓋の穴シリーズより)”, 2006
© Yosuke Bandai Courtesy of TARO NASU

片山真理 Mari Katayama

 

埼玉県生まれ、群馬県育ち

2012 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了

 

[ 個展 ]
2014
「you’re mine」(トラウマリス、東京)

 

[ 主なグループ展 ]
2013
「あいちトリエンナーレ2013」(愛知)
2010
「identity, body it. -curated by Takashi Azumaya-」(nca、東京)

[ 受賞歴 ]
2015
「3331 Art Fair 2015」和多利浩一賞、吉本光宏賞
2012
「アートアワードトーキョー丸ノ内」グランプリ
2005
「群馬青年ビエンナーレ」奨励賞 (群馬県立近代美術館)

片山真理「Thus I Exist #2」 2015, Pigment Printing

 

野村在 Zai Nomura

1979 神戸市生まれ
2009 MFA ロンドン大学ゴールドスミス

[主要個展]
2014
「 Accumulation 1」, 双ギャラリー, 東京
2013
「 additional fugitive -増刷すつ刹那-」, Harmas Gallery, 東京
「 The Dry Land」 gFAL, 東京
2011
「 Zai Nomura Solo exhibition」, Harmas Gallery, 東京
2010
「 Beyond the Transform」, gFAL, 東京
2007
「 Shadows in the sky」, Goldsmith project space, ロンドン

 

[主要グループ展]
2015
「 色(不帰順/シルエット)展」, 双ギャラリー、東京
2014
「 MMM: Minato-Media-Art Museum」, 茨城
「 Continuous Temporality」, COEXIST-Tokyo gallery, 東京
「 Dynamics of expression」, Harmas Gallery,東京
2013
「 Taipei Art Fair」, Taipei, 台湾
2012
「 Galley x Hikarie」, 渋谷ヒカリエ 8, 東京
2011
「 Art Court Frontier 2011」, アートコートギャラリー、大阪
2009
「 GROUP/GROPE」, Area 10, ロンドン
2007
「 MULTIPLE INTIMACY」 ,Oshamdy Exhibition Space, イスタンブール
「 The Fall-In-Theatre Interim」 , Ashyn Street Gallery, ロンドン
2006
「 Sevrin Contemporary Art Exhibition」 ,セヴィリン現代美術館、ルーマニア

野村在「Red inwood」( vanishing in the spaceシリーズより) 2012, Lamda print