この度、EARTH+GALLERY/galleryCOEXIST-TOKYOでは、取扱作家の佐藤哲至による企画展を行います。
美術の社会的役割の一つに、「問題の可視化」があります。自身の内面や、社会制度には全体を見通せるものが驚くほ ど少なく、そのほとんどは「みえるものの断片」か「目にはみえないもの」で構成されています。芸術家はそれらをイメージの力を駆使することで、問題を可視 化し、対象化することができます。この可視化にとって不可欠なのが問題を俯瞰的にとらえる視点であり、幽体離脱的な態度だと考えています。
「幽 体離脱しちゃったみたい。」では、一貫して「見えないもの」の影響をテーマにして、毎年、企画を構成して発表しています。昨年、初回は展示コンセプトを 「幽体離脱」として、「現実と精神の分離」が社会システムに及ぼす影響をアート作品、心理学や技術の立場から探りました。本来不可分であったはずの芸術と 宗教の関係性や、現代技術が生み出し続けるファンタジーの功罪を、「精神性を伴わない物質的な世界のあり方」として浮き彫りにしました。
今回はこれらの問題設定から一歩進めて、「愛とシミュラークル」を取り上げ、現代社会の「愛のかたち」を探ります。
また会期中は多数の講座、イベントを開催します。多彩なゲストを迎え、アーティスト自身が表現の現在を楽しく、かつ真面目に語ります。>イベント「アーティストと過ごす休日」一覧はこちら
【出品作家】
佐藤哲至(美術)、早瀬交宣(美術)、たけのこうしろう(イラスト)、越田乃梨子(映像)、坂本洋一(メディアアート)
【ゲスト作家】伊東歌織(振付家・ダンサー)村山政二朗(打楽器奏者)ほか
【監修】塚本純久(ユング心理学分析家)
幽体離脱しちゃったみたい。Vol.2
お いしい食事、お酒とともに、知性と感性と出会いの場で、一緒にアートの話をしませんか?東西線木場駅から徒歩5分の場所にある EARTH+GALLERY/galleryCOEXIST-TOKYOでは2013年より「幽体離脱しちゃったみたい。」というちょっと不思議な名前 の展覧会イベントを開催しています。今年で2回目の展覧会となります。この展覧会に関わる人たちは実に多様です。画家、アニメーション作家、心理学 分析家、ギャラリスト、編集者、イラストレーター、振付家、ダンサー、工学技術者、音楽家、デザイナー、プログラマー、写真家、映像作家、メ ディアアーティスト、教育者、フードコーディネーター。そのすべてを「アーティスト」と呼んでいます。ハイカルチャーとサブカルチャーの垣根 がない、ミクストカルチャーの創造的空間です。「接点を探し続けること」がこの展示の目的であり、自由な雰囲気の中で、アートに関する「素朴な 疑問」についてそれぞれの立場で語り合い難しい現代の「アート」をポジティブな態度と分かりやすい言葉で解きほぐしていきます。アートの守 備範囲は人間の営みすべてに行き渡っています。難しい予備知識はいりません。少しでもアートに興味があれば、この場所でその疑問をぶつけてみ て下さい。
愛とシミュラークル
前回はキーワードとして「幽体離脱」をとりあげ、「見 えないもの」を遠ざける現代社会を掘り下げ、イメージ、精神、時代性といった不可視の存在をあらためて確認するような内容を展開しました。そして今 回はキーワードとして「愛とシミュラークル」を取り上げます。「愛」は、方向性をもった精神的なエネルギーであり、宗教愛、自己愛、博愛、性愛、 憎悪、生霊や怨念まで様々な形をとります。一方で、社会的な愛の形式も、愛国心、寄付文化、婚活、アイドル、出会い系といったように多岐にわたって います。文化人類学では、ある土地の伝統文化が滅びてしまった後、後世の人間がそれを惜しんで復活させた「まがいもの文化」を意味する用語を 「シミュラークル」と言いますが、社会化された愛の形式はシミュラークル的にもみえます。「愛」という言葉に疑問を抱きつつ、「愛」を希求する欲望に満 ちている現代社会の「愛のかたち」を探ります。 (てんせんめん代表:佐藤哲至)
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