2016年9月、EARTH+GALLERY(アースプラスギャラリー)では画家 後藤寿方(ごとう としまさ)の個展を開催する運びとなりました。後藤氏は、揺れやブレ、揺らめきなど、頭の中の常にあるけど、消えてしまいそうな不確かなもの、また突然に見える残像、錯覚などを描き起こすことで、表現を続けています。
今回の展示では「時間」の歪みに着眼します。
時間とは何か…直線上の点が現在、その右側が未来、その左側は過去、と記号化された時間軸が脳裏に浮かぶ一方で、我々は、時を過ごし経ることで、その刹那的な存在を認識し本当の意味での時間を身にしみて感じます。
作家 後藤寿方の描く作品は、時間の経過が視覚的に分かりやすく、なんらかのストーリーを持つ動画をモチーフとしており、その動画を機械的にクリップ(切り取り)し重ね合わせた断片をひたすらキャンバスに描き起こし、表現されます。それらは幾十にも重なる“一瞬” のレイヤーとなり、作家自身の「時」として現れます。感情と裏腹に無情に刻まれ続ける時のなかで、奇跡的な一瞬として再現されるのです。
作家は「『時間』は全てのものに平等に流れているが、人それぞれ記憶や感情や経験の蓄積から作られる自分の「時」の中で生きている。」と話します。また、「常に不規則に動く『時』には、凝縮された“何か” が潜んでいる。」と。
「.zip」と題された本展では、日常に溢れる数ある映像の中から切り抜かれた、いくつかの「時間」が、作家 後藤寿方によって圧縮され、また、「時」に潜む『何か』を彼の表現のフィルターを通すことで、よりリアルに感じて頂くことができるでしょう。是非この機会にご高覧、ご体感ください。
「人は時間の中なんかに住んでやしない。時の中に住んでいる。」岡潔
後藤寿方 TOSHIMASA GOTOT
1983年 福岡生まれ
アートユニット「o o c a m i d r a w i n g s 」としても活動(http://oocamidrawings.com/)
個展
2002 R U D E G A L L E R Y(東京)
2008 a q u v i i(東京)
2014 O f T E N g a l l e r y(東京)