C O M M O N ⇆ P E R S O N A L experience 3人のパースペクティブ

★9月14日(土)15時~アーティストトークイベント開催★

会期:2024年9月12日(木)~9月23日(日)

休廊:9月18日(水)・9月19日(木)

時間:12:00~18:00

UP

EARTH+GALLERYでは、油彩の茅根賢二(チノネケンジ)・日本画の瀧本泰士(タキモトタイシ)・石彫の為我井涼太(タメガイリョウタ)による「COMMON ⇆ PERSONAL experience〜3人のパースペクティブ〜」 展を開催いたします。

 

★9月14日(土)15時~アーティストトークイベント開催★

会期:2024年9月12日(木)~9月23日(日)

休廊:9月18日(水)・9月19日(木)

時間:12:00~18:00

企画:山中周子

主催:EARTH+GALLERY

※9月1日~10月31日までの2か月間、ヒルトン東京(新宿)ロビーフロアChocolate Lounge Art Exhibition にて茅根賢二・瀧本泰士・為我井涼太の作品を展示いたします。お近くにお越しの際はご高覧いただけますと幸いです。ヒルトン東京での展示作品は、EARTH+GALLERY Online shopにてご購入いただけます。

 

茅根賢二(チノネケンジ)は、私たちが今や日常的に行う「記録」によってもたらされる、「記憶」の拡張、あるいは圧縮、そして「再生」という現象を絵画表現で探ります。

「人が写真を撮るという行為は、記憶の儚さに対する抵抗のよう」であると氏は捉え、無意識的にスマフォや、カメラを構え目前の光景を残す常習化された行為、また、同時にそれによる記録が世界中の他者と共有され、刹那的に流れていくスライドのように他者の記録に触れることができる現在において「他人の視界すら己の記憶の一部になりかねない」と考えます。

大事な思い出を残したいという意思によって残された記録も、インターネットをはじめとするSNS や動画投稿サイトなどから流れてくる他者視点の記録も、どちらも同様に私たちの記憶に刻まれる中で、茅根は自身の記録をなぞりながらも、記録の外側にある記憶の断片がキャンバスのなかにどのように再現されていくのかを、絵を描くという身体を伴う行為のなかで試みています。

 

山を登り、山を描く瀧本泰士(タキモトタイシ)は日本画の枠を超え独自の視点で表現を試み続けています。
2023年に参加した雲ノ平アーティスト・イン・レジデンスプログラム以降、各地域で採取した水を使い、墨をすり制作に使い始めました。本展で展示される「TRACE」シリーズは自ら歩いた山の道の地図をトレースし、つなげ、完成します。

大地に水が染み込むように、墨が和紙に染み込み描かれるとき、視覚化された筆跡は境界線となり、層となります。そうして描かれる画面を反転し展示することで、観るものは濃淡によって映し出される「地図」に対峙します。

絵画では下図をなぞることを意味する「T R A C E」は、登山では雪山を歩いた踏み跡を意味するといいます。

作家の、山の環境や自然の現象に呼応する制作の営みによって描かれた地図を前に、私たちの意識は「足元」と「俯瞰」を行き来し、いつか見た各々の自然へと馳せられます。瞬間的に地図を開き、現地の景色を知ることができるこの時代ですが、瀧本によって描かれる山々は、空気の冷たさや水のやわらかさ、空気の匂いまで漂うような生々しさが宿ります。

 

石を素材とし制作する為我井涼太(タメガイリョウタ)は「違和感」をテーマに表現を試みます。

「常識とは 18歳までに身に付けた偏見のコレクションでしかない(アインシュタイン)」であり、「違和感は、常識から生みだされた価値観と、自身の本心にある価値観との間にズレが生じたときに感じ、違和感を認知し深堀りしていくことで、自身の本心や物事の本質に行き着く」と考え、人類が古くから扱ってきている素材の一つである石を用い、違和感を表出させることで、本質に迫ろうとします。

為我井は、成長と消費が繰り返され、刻々と変化する環境や、膨大な情報が日々更新される中で、得体の知れない焦燥感を覚えると言います。裏腹に、変化のスピードに身を任せた時の、何かを見落としてしまいそうな恐ろしさも感じると言います。

制作を通して「違和感」を感じる、感じさせようとする時、それは同時に自身の価値観を探り、本質に立ち戻り、立ち返ろうとする試みであり、作家自身にとって、地に足の着いた生きる瞬間を再認識することでもあります。

 

3人それぞれの視点から生まれる表現は、今の時代に生きる私たちに感覚的な共感をもたらすように思います。それは、彼らの作品が、日常にありふれた事象を取り扱いながら、見過ごし鈍感になった私たちの五感を刺激し、それぞれの心象に自ずとアクセスするからかもしれません。この機会にぜひ本展をご高覧いただければ幸いです。