黒は、すべての色を吸収する。
光を取り込み、物質の時間を蓄積し、存在の痕跡を可視化する色。
それぞれ異なる背景と表現方法を持つ14名の作家が、共通の素材=炭を手にしたとき、何を読み取り、解釈し、いかなるプロセスを経て作品へと転化したのか。その思考の軌跡と素材との対話です。
産業から生まれた副産物が、アートの現場で新たな意味を帯びる。
技術が感性と結びつき、循環が思想へと昇華する。
アートは社会にどこまで介入できるのか。
その問いを14年間にわたり実践してきたEARTH+GALLERYが、2026年4月、14周年を迎えます。
本展は、環境・産業・芸術を横断する実験的プロジェクトです。創設者・松下康平が長年研究・実装してきた「廃棄物の炭化」を出発点とし、生活や産業活動の中で排出される有機廃棄物を、環境負荷を抑えた独自工程により炭へと変換。その炭を“画材”として再定義し、アーティストに委ねます。
世界的に脱炭素社会への転換が求められるいま、炭は単なる燃料や副産物ではなく、炭素固定や土壌改良、資源循環の観点から再評価されています。本展は、その炭を芸術の文脈に接続することで、「廃棄物とは何か」「その価値とは何か」という根源的な問いを提示します。
EARTH+GALLERYが掲げる「COEXIST(共存)」とは、自然と人間、産業と文化、環境と経済を分断せず、接続すること。本展は、美術展であると同時に、資源循環社会に向けた文化的提案でもあります。
アートは社会構造に問いを投げかける装置となり得るのか。
14年目のEARTH+GALLERYは、その可能性を改めて提示します。
タイトル:Various Black - COEXIST
会期:2026/4/11㊏ - 4/25㊏ (㊊㊋㊌はご予約のみ)
時間:13:00-19:00
レセプションパーティー:4/10㊎ 19:00 - 22:00
主催:株式会社アースプラス
協力:株式会社ZEエナジー
イベント:
4/11㊏ 14:00-15:00
ASUKI/LIKE DRAWING BREATH-ドローイングパフォーマンス
『Contact Breath/触れる呼吸』『Space Scratch/空間ドローイング』
料金:1500円+1 drink order
詳細はこちら
4/25㊏ 13:00-17:00
土井直也-ワークショップ&セッション
『考誤学(こうごがく)のススメ』
料金:4,500円+1 drink order
詳細はこちら
参加アーティスト:
ASUKI
『LIKE DRAWING BREATH』をコンセプトに、ドローイングを通し意識などの不可視領域をテーマに表現、研究を行う。 東京藝術大学卒業。大学時代ドローイング及びパフォーマンスを行う。また身体技法研究家から、身体とイマジネーションの関係性を学ぶ。 2013 年までインディペンデントキュレーターとして、アーティストの展覧会のディレクション、コーディネートを 東京と NY にて開催。2020 年までデザインの仕事を行う。 2020 年から、表現と人間の関係に可能性を感じ、上達を目的としない実験的ドローイング教室運営やクリエイティブクラスの立ち上げを行う。現在、作品制作、パフォーマンス、ワークショップを展開。
梅村昇史|UMEMURA Shoji
1984年、武蔵野美術大学卒業。広告デザイン事務所に4年間勤務後、雑誌、書籍等でのデザインとイラストレーションを中心にフリーランスとして仕事をはじめる。平行して音楽CDのジャケットデザイン、原作と絵で児童向けのお話、マンガ作品を手掛ける。またポスター、フライヤー、美術、映像などのデザイン制作でステージ・パフォーマンス、舞台関連の仕事にも関わる。2009年以降、地元(東京都江東区)を中心に子ども向けのワークショップを開催。絵本やオブジェ作りなど、「お絵描き」をデザイン的に展開するプログラムの他、都立木場公園で開催されるプレーパーク内で野外でのお絵描き遊び等を実施中。
大井真希|OI Maki
1995年富山県八尾町生まれ。2017年多摩美術大学美術学部工芸学科陶専攻卒業、2019年筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程芸術専攻クラフト領域修了。現在は金沢卯辰山工芸工房陶芸工房専門員として活動。素材と技法の探求を通して現代における陶の表現を模索している。神奈川県美術展県立近代美術館賞(同館収蔵)、いりやKOUBO大賞、金沢市工芸展北國新聞社社長賞など受賞多数。
熊谷雲炎|KUMAGAI Unen
現代書家。古典書法を基盤としながら、文字を身体と時間の痕跡として捉える作品を制作。甲骨文など古代文字を用い、人間の記憶や境界の生成をテーマに表現を展開している。近年はパレオゲノミクスなどの知見を手がかりに、人類を分類してきた概念と言語の歴史を問い直す作品を発表。書を意味の伝達から解放し、概念と存在、生者と死者が交差する場として再構成することを試みている。また他分野のアーティストとの協働によるワークショップや空間的な表現にも取り組み、書の新たな可能性を探究している。
下野友嗣|SHIMONO Yuji
1984年兵庫県生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業。錆を用い、版画のようなモノタイプ表現によって時間や痕跡を可視化する作品を制作。偶然に生まれる腐食の表情を重ねることで、記憶や存在の気配を繊細に浮かび上がらせる。近年は千葉市文化センター「空白の器」、EARTH+GALLERY「痕跡を一つずつ確認するように重ねると、やがてそれは愛になる。」などで発表。各地で個展・グループ展を重ね、独自の表現を深化させている。
紗|Suzu
1995年東京都生まれ。起源である甲⾻⽂字をもとに、⽂字を伝えるための記号ではなく、書くという⾝体⾏為から⽣まれるものとして捉え直し、⽣活の中の⾏為や⾝体的経験の痕跡として表現している。⽂字は線によって形づくられる際、その内側に⽣じる余⽩を⽇本特有の「間」として定義し、そこに⽴ち上がる気配や存在の痕跡に着⽬している。本作品では、アルミという無機質な⽀持体に対し、⾝体を介して有機的に墨を⾶散させることで、その⾶跡の中に⽂字の構造を⽴ち上げる表現を試みている。近年は、⾝体的感覚を⼿がかりに、線と余⽩の関係を空間へと展開し、⽂字を体験するインスタレーション制作を⾏う。
土井 直也|DOI Naoya
1984年北海道生まれ。衣服設計(パターン)を応用した「解体と再構築」の論理を構築し、“入れ物”としての世界を研究。未来の視点から現在を観察する概念「考誤学(Mis-archaeology)」を提唱する。現代の物質や情報をパーツへと解体・再構成することで、存在しない生物の化石や文明の証拠を体系的に捏造。未来の観察者が現代の遺物として“誤読”する装置として「仮構された未来遺物」を設計、制作している。「あったはずのない過去」を真実味あるものとして提示し、私たちが生きる虚構の情報社会を“遺跡”として可視化する実験的実践に乗り出した。
七澤菜波|NANASAWA Nanami
富山県生。東京学芸大学書道学科を経て、グラフィックデザイナーとして活動後、書家・墨象アーティストとしての道を歩む。伝統的な書にとどまらず、墨象と写真など独自の表現を探求。国内外での個展や、商品パッケージ・ロゴ制作を手がける。
ニューヨーク、シンガポールで書のパフォーマンスを披露。アパレルや建築、舞台美術とのコラボレーションも展開。游洛庵より発売の菜波ブランド着物をデザイン。2019年、平成天皇御即位30年・御成婚60年記念写真集『平成を歩まれて』題字を揮毫。
成田路実|NARITA Romi
2000年東京都生まれ。染色家・衣装家・イラストレーター・人形遣い見習い。東京都立総合芸術高校日本画専攻、武蔵野美術大学クラフトコーステキスタイル専攻を経て、2025年東京藝術大学大学院工芸専攻染織領域修了。型染めを応用したアニメーションなど、分野横断的な手法で制作を展開。偶然性と制約から生まれる表現の可能性に着目し、純粋な感情の高鳴りを起点に独自の表現を探求している。2025年「アートの力・早暁NEXT」「reunion」ほか出展。
ノサチカ ミサキ / tissuecolor™︎
美術作家。「tissue(紙・布・組織・連続性)」をキーワードに、身体感覚に刻まれた記憶や感情の痕跡をテーマに創作を続ける。絵画、オブジェ、文章など、表現媒体は多岐にわたる。セラピストとして嗅覚や触覚を含む身体感覚への理解を基盤に、ジャズサックス奏者として培った即興性、そして12年にわたる企業経験で得た構造的思考を横断しながら制作、日本を拠点に国内外で展示・発表を行っている。
Chikaram
東京を拠点とするサウンドアーティスト。2020年、コロナ禍のバルセロナにてフィールドレコーディングによって採集した音を使った表現活動として、ソロプロジェクト "Chikarum(チカラム)" を開始。旅と日常で記録した音風景をドラム、ハンドパン、声による「身体的な音」と融合させる表現を模索している。Mr.Elephants / Verny(Drums)、FIKA(Handpan / Voice)などのメンバーとしても活動中。
松下康平|MATSUSHITA Kohei
炭を素材に「黒」という色の根源的な可能性を探求するアーティスト。産業廃棄物やバイオマスを炭化する独自技術を背景に、素材の生成過程そのものを芸術へと転換する作品を制作している。1990年代よりニューヨークを拠点に活動し、環境と芸術を横断する独自の表現を確立。炭の粒子や質感が生み出す深遠な黒の世界を追求した代表作「Various Black」シリーズを展開。作品はドイツのロストック美術館に収蔵されるなど、国際的にも評価されている。
明和電機|Meiwa Denki
1993年に土佐信道を中心に結成された芸術ユニット。青い作業服に身を包み、「製品」と称するナンセンスマシーンを開発・発表し、ライブパフォーマンスや展覧会を通じて独自の活動を展開する。代表作「オタマトーン」など、ユーモアと技術を融合させた作品で国内外から高い評価を受ける。アートとエンターテインメント、テクノロジーを横断する唯一無二の存在として知られる。
渡辺千春|WATANABEChiharu
イラストレーター・造形家。福井県生まれ、東京都江東区在住。アパレルのテキスタイル図案家を経てイラストレーターに。雑誌・書籍・広告のほか、その場で仕上げるチョーク看板なども手がける。シンプルな線で伝え、ユーモアやナンセンスを軸に描く。刺繍やかみねんど人形、食べちゃうイラスト・アートおにぎりなど、かたちの作品も展開。ワークショップや全年齢対象のびじゅつ教室を行い、2025年より「ハルタンタ造形教室」を主宰。創作を日常に楽しむ場づくりを目指す。

