EARTH+GALLERYでは、ヒルトン東京(新宿)との協働プロジェクトとして、Hilton TOKYOロビーフロアChocolate Loungeにて、2か月毎に企画展を開催し、日本で活躍しているアーティストを海外からのお客様へ紹介しています。
2025年10月15日から2025年11月24日までの間は、故郷である富山の風土を創造の手がかりとする陶の造形作家 大井真希個展「Pulse - Transient-」を開催いたします。
展示作品はEARTH + GALLERY ONLINE SHOPにて販売いたします。
“脈動(Pulse)”の刹那を捉えようと試みたシリーズ。
十数年ぶりに茨城から故郷の北陸に戻り、日々の制作を続けるなかで、自然の変化や人の営みがもたらす小さなリズムに意識が向くようになりました。
朝晩の光の移ろい、風の温度、土を触ったときの湿度の違い――そうした感覚のひとつひとつが、自分の身体の中にも反響するように感じられます。
このシリーズでは、その「響き合い」をどうかたちにできるかを探っています。
制作の過程で、土の収縮や釉薬の流動、焼成による変色やたわみを、できるだけ自然の流れとして受け入れるようにしています。コントロールしすぎず、偶然に委ねる部分を残すことで、土が自ら動き、呼吸しているような表情が生まれました。
一方で、表層の色彩には意図的に黄色などの原色を選んでいます。
北陸の柔らかな光や、季節によって刻々と変化する風景の記憶が、自分の中に鮮明に残っているからです。
冬の曇天のなかに差し込む一筋の光、田畑や瓦の濡れた反射――そうしたわずかな“明るさの記憶”が、原色として立ち上がってきました。自然の中で埋もれがちな光の存在を、あえて純度の高い色で抽出することで、土地に刻まれた時間や空気の層を可視化したいと考えています。
その瞬間に立ち上がるのは、素材の内部に潜む力や、時間の層のようなものです。私にとって作品づくりは、それを無理に形づくるのではなく、観察し寄り添いながら記録していく行為に近いと感じています。
「Pulse –Transient–」は、自然と自分とのあいだに流れる“拍動”を、一瞬のかたちとして定着させようとする試みです。
大地や風がもたらす微かな変化を、陶という媒体を通して捉え、そこに生まれる「光と記憶のリズム」を可視化しています。
大井真希/Maki Oi
1995 富山県八尾町生まれ
2017 多摩美術大学 美術学部 工芸学科 陶専攻卒業
2019 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士前期課程 芸術専攻 クラフト領域修了
2024~ 金沢卯辰山工芸工房 陶芸工房専門員
●個展
2019.5 いりや画廊/東京都
2022.7 EARTH+GALLERY/東京都
「流動するかたち / Flowing Shape」 展
共同企画 : EARTH+GALLERY( アースプラスギャラリー ) ・
gallery neo_(合同会社ネオつくばプロジェクト)
2023.8 いりや画廊/東京都 「いりやKOUBO大賞」展
2024.1 gallery neo _/ Senshu/茨城県
2025.11 クラフト広坂4weeks selection ~次世代を担う若手作家たちの空間~/石川県
2026.1 縁煌・加賀依緑園/石川県
● 受賞・他
2018 第54回神奈川県美術展/県立近代美術館賞 [神奈川県立近代美術館 収蔵]
2019 平成30年度 博士前期課程芸術専攻修了作品/茗渓会賞 [筑波大学 収蔵]
2022 公益財団法人現代美術文化振興財団 第7期生
2022 第4回いりやKOUBO/大賞