この度、EARTH+GALLERY は、造形作家 塩谷良太(しおやりょうた)の個展を開催いたします。
陶による造形表現を手がける氏は、空間は人が動くことによって認識されるという前提のもと、この「動き」を触発し、ものや人の「姿」や「佇まい」を想起させる表現を試みています。
「陶」造形において、粘土や釉薬の特性と素材としての制約への理解はさることながら、形成、乾燥、素焼き、釉薬をかけ、焼成するという一連のプロセスがあります。氏は、このプロセスを「仕組み」と呼び、そこで起こる現象や自身の動きによる痕跡を考察することを主軸に造形表現を行なってきました。
EARTH+GALLERYにて開催した 2016 年「塩谷良太」展では、2015 年より手がける「物腰」シリーズの初期大型作品「物腰 (2016)」が空間の気の流れを支配したのは記憶に新しく、その存在感と、稜線の起伏、色彩の濃淡、それらの躍動感に誘われ、人々は目の前に鎮座する陶作品の周りを衛星のように旋回し、縦横無碍に開かれた作品に対面し無意識的に身体全体で鑑賞せざるおえない状況を体験することになりました。そのことは、私たち鑑賞者に新たな陶鑑賞のカタチを提示してくれたように感じます。
「今回の制作は窯から出てきた自作に面喰うところから始まった」といいます。2020 年に「大きなサイズでも、思うような仕上がりを得られるようになってきた。」と話していた氏が、受け入れ難いほど想定外の印象となった制作物に対峙した時、氏は積極的に自作を探り糸口を見つけようとします。それは「仕組み」に立ち返る作業でありながら、その「佇まい」が醸す存在感の再分析と言えるでしょう。
「はじめて見るかのようにはじめて見ている」と題した本展は、改めて見つめ直す作業から還元的、付随的に新たに生まれた表現の紹介のみならず作家の創造的思考の体現の場となるでしょう。「物腰 2022-11」をはじめとした、ドローイングを含む約 30 点を展示販売いたします。この機会にぜひご高覧いただければ幸いです。
「物腰(2022-11)」 陶 H191 x W193 x D120 cm 2022 photo by SADAMU SAITO
会期: 2022 年 12 月 22 日 ( 木 ) ~ 12 月 25 日 ( 日 )
2023 年 1 月 5 日 ( 木 )~1 月 15 日 ( 日 )
【年末年始休業 12 月 26 日(月)~1 月 4 日(水)】
※木金土日OPEN
時間:12:00 ~ 19:00(最終日は17 時まで)
入場:無料
会場 :EARTH+GALLERY(135-0042 東京都江東区木場 3-18-17 1F)
企画:gallery neo_ (合同会社ネオつくばプロジェクト)
【作家在廊日】12 月 22 日(木), 23 日(金), 24 日(土),1月6日(金),7 日(土),14 日(土)
※2023年始のアート交流会を、2023年1月6日(金)19時~22時開催いたします。
塩谷 良太 Ryota Shioya
1978 東京都生まれ
2003 多摩美術大学美術学部工芸学科陶専攻卒業
2005 筑波大学大学院芸術研究科デザイン専攻総合造形分野修了
2011-2012 平成 23 年度文化庁新進芸術家海外派遣研修員、イタリア・フィレンツェ国立美術学院
個展
2022.1 「かたちに、かたちのないもの」cont、名古屋/愛知
2020.8 「かたちに、かたちのないもの」瀬戸市美術館、瀬戸/愛知
2020.7 水犀、蔵前/東京
2019.9 川越市立美術館 タッチアートコーナー、川越/埼玉
2018.11 「かたちに、かたちのないもの」栗東芸術文化会館さきら、栗東/滋賀
2017.8 白白庵、南青山/東京
2016.6 art space morgenrot、青山/東京
2016.4 EARTH + GALLERY、木場/東京
2012.6 Prioria di San Lorenzo, Montelupo Fiorentino、モンテルーポ/イタリア
2009.3 ギャラリー 6 坪、十日町/新潟
2007.9 貸しはらっぱ音地、韋駄天ギャラリー、谷中/東京
2005.8 ギャルリー東京ユマニテ lab、京橋/東京
グループ展
2022.7 「今 わたしたちにできること ウクライナ支援チャリティー ミニアチュール展 2022」REBEL、水戸/茨城
2021.6 「土イジり」茨城県陶芸美術館、笠間/茨城
2021.5 「Art × Life」ギャラリー上田、銀座/東京
2021.2 「国際工芸アワードとやま 2020」富山県美術館、富山/富山
2020.11 「6つの個展 2020」茨城県近代美術館、水戸/茨城
2020.10 「矢中の杜展覧会」矢中の杜、つくば/茨城
2020.1 「青花の会|工芸祭 2020」BOOTLEG gallery、新宿/東京
2019.10 「焼きものの現在 土から成るかたち PartⅩⅦ」多治見市文化工房ギャラリーヴォイス、多治見/岐阜
2019.10 「Art Session TSUKUBA 2019」[ʼ 17 ʼ 15 ʼ 13 ʼ 09]つくば/茨城
2019.6 「特別企画 交流と実験-新時代の〈やきもの〉をめざして-」滋賀県立陶芸の森 陶芸館、信楽/滋賀
2019.4 「第 3 回 瀬戸・藤四郎トリエンナーレ-瀬戸の原土を活かして-」[ʼ 16、第 2 回]瀬戸市美術館、瀬戸/愛知
2019.4 「雨引の里と彫刻 2019」[ʼ 15 ʼ 13 ʼ 11]桜川/茨城
2018.10 [NOT] ARTOFFICIAL [?], LAWANGWANGI CREATIVE SPACE、バンドン/インドネシア
2017.11 塩谷良太・山崎葉 二人展」art space morgenrot、青山/東京
2017.3 「C pieces」アキバタマビ 21 3331 Arts Chiyoda、秋葉原/東京
2016.12 Jakarta Contemporary Ceramics Biennale #4, National Gallery of Indonesia、ジャカルタ/インドネシア
2016.10 「第六回天祭 一〇八」増上寺、芝公園/東京
2016.9 「茨城県北芸術祭」道の駅 常陸大宮~かわプラザ~、常陸大宮/茨城
2016.7 「 若手工芸作家国際展 第 2 回薪技芸・炎」東京藝術大学大学美術館 陳列館、上野/東京
2016.7 「現代陶芸・案内」茨城県陶芸美術館、笠間/茨城
以前省略
イベント、ワークショップ他
2022.5.11,13「ひとてま」インスタレーション/ワークショップ、土浦愛隣会保育所、あゆみ保育園、土浦/茨城
2021.5.24,28「ひとてま」インスタレーション/ワークショップ、土浦愛隣会保育所、あゆみ保育園、土浦/茨城
2021.2.22-3.24「つながる『ひとてま』プロジェクト ~目の前のあなたと,ここではないどこかへ,今ではないいつかに~」、ギャラリーひのたて、水戸/茨城
2020.12.14「ひとてま」ワークショップ、茨城県近代美術館、水戸/茨城
2020.11「ひとてま」インスタレーション、Cappella di San Michele Arcangelo a Semifonte(Giacomo Cencetti, Matteo Nutini による)、バルベリーノ/イタリア
2019.11 ワークショップ「みいだすと、いかす」川越市立美術館、川越/埼玉
2019.3.23 ワークショップ「みいだすと、いかす」御前山ダム公園、常陸大宮/茨城
2018.11.25「ひとてま」インスタレーション/ワークショップ「アートフェスタふじみ野 2018」、ふじみ野/埼玉
2018.7.25 ワークショップ「みいだすと、いかす」滋賀県立陶芸の森 産業展示館創作室、信楽/滋賀
2017.5.10「ひとてま」インスタレーション/ワークショップ(Campucc10, CoBALTO による)、
ʻLe attività della festa della ceramicaʼ piazza Mino di Fiesole、フィエーゾレ/イタリア
以前省略
受賞
2019.4 第 3 回 瀬戸・藤四郎トリエンナーレ-瀬戸の原土を活かして-、グランプリ(藤四郎賞)
2016.4 第 2 回 瀬戸・藤四郎トリエンナーレ-瀬戸の原土を活かして-、審査員特別賞 (髙満津子賞)
2012.9 III EDIZIONE DEL PREMIO “ARS GRATIA ARTIS” , Lʼ Associazione Culturale La Corte Arte Contemporanea, Marco Fattori、1位
レジデンス
2018.7 ~ 2018.8 / 2018.12 ~ 2019.1 滋賀県立陶芸の森 AIR プログラム(ゲストアーティスト)、信楽/滋賀
2016.8.13 ~ 2016.9.8 Artists in Residence of The 4th JCCB、バンドン/インドネシア
パブリックコレクション
瀬戸市美術館、 滋賀県立陶芸の森
コミッションワーク
2018 御前山ダム公園、常陸大宮/茨城
2016 道の駅 常陸大宮~かわプラザ~、常陸大宮/茨城
論考
2018.6 造形表現の源泉としての「動きの真実感」についての考察、多摩美術研究 7
2013.3 制作ノート:「分けないでわかるわかり方」、多摩美術大学研究紀要第 28 号
2005.2 修士論文:「陶造形にみる今日的表現の可能性 作品『Ceramic Clip』及び研究報告書」、筑波大学大学院修士論文