この度、gallery COEXIST-TOKYOでは4名の女性アーティスト、立原真理子、町野三佐紀、武藤亜希子、渡辺望のグループ展を開催いたします。
画像左:渡辺望「The book of stars -something above the love (” i “の上にあるもの」 2012年 インスタレーション(本 191×137×14mm) ヤドカリトーキョー主催企画展04「アオヤマクライム」 ファミリー青山(東京) photo by 土田祐介
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人の歩幅も歩く速度も同じではない。
同じ場所にいても見ている風景は同じではない。
あなたはどこでどんな景色を見ているのだろうか。
今展は、個人的な体験が埋め込まれた誰かの「記憶」を共通キーワードとして持つ4名の女性アーティスト、立原真理子、町野三佐紀、武藤亜希子、渡辺望によるコミュニケーションの原風景の提示と反問である。
4名のアーティストたちは自らの内を感じ、外を見渡し、その間にある距離を測りながら、様々な角度で世界との境界線や関わりについてアプローチしていく。横溢したイメージの中から、過去のなくし物の中から、網戸の格子から、そして夜空の星の中から「私」と「あなた」は繋がっているのだろうか?と問いかける。
表現するメディアは様々だが、どれも展示空間によって作品形態が変化するサイト・スペシフィックな要素を持ち、鑑賞者の視点が入ることで作品を作品足らしめる。
自らの生い立ちや住環境が制作の源となっている町野、立原、渡辺。
町野は表現媒体として映像を選び、海辺で育った者が持つ海への情景を無数のさざなみになぞる。鑑賞者の姿が映像と重なることで、身体の可塑性を意識させる。
立原は、内と外を隔てると同時に両者を行き来する機能を持つ網戸に刺繍を施すことで、内と外の繋がりを強く、さらに曖昧にする。刺繍された真っ赤な彼岸の景色が自分の立ち位置の脆弱さを浮き彫りにする。
渡辺は、言葉という神秘的な魔力を使って、見えなくても存在するものを導き出そうとしている。「i」の「・」だけを現出させた1冊の本は、澄み渡る夜空の星々であり、強いメッセージ性を持つ。
前者の3人と異なり全くの他人の記憶を借りて作品に昇華する武藤は、フエルト生地を使用する。自由に切り取られた生地は形を変える一方で痕跡を残していく。体験型である武藤の作品は手を動かすことで失った物を再出現させる。当事者以外の誰にもそれを出現させることはできない。
会期中は作品の販売を行い、また、4名のアーティストによるトークイベントと武藤によるワークショップが開かれる。
(テキスト:馬渕富美子)
会期中、武藤亜希子によるワークショップイベントを開催します。
立原真理子「岸と戸」2012 網戸、刺繍糸、紙、透明水彩 サイズ可変
町野三佐紀「さざめき」2012 ビデオインスタレーション モノクロDVD 7min.(Loop) 「さざめき/夜陰」gallery COEXIST-TOKYO(東京)
武藤亜希子「思い出の庭 T+S+U+M+A+R+I」2012 大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ2012 ハギレ、その他(WS+展示の参加型アート)サイズ可変