この度、gallery COEXIST-TOKYOでは、大気(=空気)または音波(=旋律)をテーマとした展示『大気(air):旋律(air)』を開催する運びとなりました。本展では、高橋士郎(たかはし・しろう)の監修のもと、原田大三郎(はらだ・だいざぶろう)、山川冬樹(やまかわ・ふゆき)、小松宏誠(こまつ・こうせい)、谷口暁彦(たにぐち・あきひこ)、莇 貴彦(あざみ・たかひこ)が参加します。メディアアートの巨匠から若手の作家まで、世代を超えた展覧会です。
本展を監修する高橋士郎の研究に、「ハイパーアート・カタログ」という氏のウェブサイトから生まれた書籍があります。この研究は、この世からあの世まですべての事象を「空気 / 音波(空相)」「液体 / 流体(液相)」「大地 / 素材 / 加工(固相)」「生命 / 感覚 / 寸法 / 時間(この世)」「重力 / 機構 / 構造(重力)」「電気 / 磁気(電荷)」「光波 / 視覚(光)」「記憶 / 認識 / 想念 / 数理(あの世)」という8つのカテゴリーに分類し、アート作品のヒントとして紐解くユニークな試みです。本展「大気(air):旋律(air)」展は全8回で完結する展覧会シリーズの第1回となります。
大気(=空気)または音波(=旋律)を物理現象や概念として捉えた新旧の作品が展示され、美術展でありつつもアートの切り口の博物展示とも言える展覧会です。皆様にぜひご高覧いただけますよう、ご案内申し上げます。
出品作家 :高橋士郎、原田大三郎、山川冬樹、小松宏誠、谷口暁彦、莇貴彦
//////関連イベント//////////////////////////////////////////////////////////////////
トークイベント「メディアアートと”現象”の表現(仮)」
出演(予定): 馬定延(メディアアート研究者)、原田大三郎、小松宏誠、谷口暁彦、莇貴彦(出品作家)
日 程: 6月13日(土)18:00-20:00
場 所: gallery COEXIST-TOKYO
入 場 料 : 1,000円(ワンドリンクつき、予約不要、定員30名)
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トークゲスト: 馬定延(ま・じょんよん) 1980年ソウル生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科博士課程修了(映像メディア学博士)。日韓文化交流基金招聘フェロー、同大学院および国立新美術館客員研究員、韓国『月刊美術』東京通信員。多様な言語が交差するメディアアートの社会的存在意義に関心をもっている研究者。
Illustration by だつお
//////出品作家プロフィール/////////////////////////////////////////////////////////////
高橋士郎
造形作家。1943年東京生まれ。多摩美術大学大学院修了。元多摩美術大学教授。当時として極めて先進的であったコンピューター制御によるアート作品『立体機構 シリーズ』を大阪万博EXPO’70など多くの展覧会で発表した後、風船を素材として扱った『空気膜造形シリーズ』を考案、世界各地で展開する。芸術の分野にコンピューターやテクノロジーを浸透させた立役者の一人として知られている。
高橋史郎『Barbara』2014年
原田大三郎
1956年福岡生まれ。映像作家。多摩美術大学情報デザイン学科教授。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース卒業、83年第16回現代日本美術展佳作賞、第1回 日本芸術文化振興賞受賞、マルチメディアグランプリ’94MMA会長賞。CGを中心とした映像表現を追究。SFX、コンサート映像の監督など。
原田大三郎 新作イメージ(参考図版)
山川冬樹
ホーメイ歌手 / 美術家。自らの声・身体を媒体に視覚、聴覚、皮膚感覚に訴えかける表現で、音楽 / 現代美術 / 舞台芸術の境界を超えて活動。己の身体をテクノロジーによって音や光に拡張するパフォーマンスを得意とし、歌い手としては日本における南シベリアの伝統歌唱「ホーメイ」の名手として知られる。活動の範囲は国内にとどまらず、これまでに15か国でパフォーマンスを上演。自ら構成・演出を手がけたパフォーマンス作品『黒髪譚歌』、『Pneumonia』(『あいちトリエンナーレ2010』)などもある。パフォーマンス活動の一方で、展示形式の作品も発表。声と記憶をテーマにしたインスタレーション『the Voice-over』(2008年)は、東京都現代美術館に収蔵されている。
山川冬樹『原子ギター初号機/弐号機ストラトキャスタータイプ』2011年(参考図版)
小松宏誠
1981年徳島県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、アーティストグループ「アトリエオモヤ」のメンバーとして活動を開始。2014年に独立。「浮遊」への興味から、「鳥」や「羽根」をテーマとした作品を展開中。自然が持つテクノロジーと人間の生み出したテクノロジーが交錯する表現を追求している。
小松宏誠 新作スケッチ 2015年(参考図版)
谷口暁彦
メディア・アート、ネット・アート、映像、彫刻など、さまざまな形態で作品を発表している他、渡邉朋也とともに、新宿・思い出横丁で発見されたメディアアートにまつわるエフェメラルでアンフォルメルなコミュニティ、思い出横丁情報科学芸術アカデミーの一員としても活動。主な展覧会に「[インターネット アート これから]」(NTT ICC、2012)「思い過ごすものたち」(飯田橋文明、2013) 「オープン・スペース 2014」(NTT ICC、2014)など。
谷口暁彦個展『滲み出る板』2015年(参考図版)
莇 貴彦
1981年神奈川県生まれ。2004年多摩美術大学情報デザイン学科卒業。同学情報デザイン学科副手 / プロダクトデザインコース助手、3331 Arts Chiyodaのプロジェクトマネージャーを経て、現在はメディアアートをはじめとした文化振興活動に携わる。美術家としては、主に動きを用いたインスタレーション作品を制作 / 発表している。
莇 貴彦『ハンペン』2014年