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丹羽陽太郎 「映らない鏡の前で」

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この度、gallery COEXIST-TOKYOでは、11月2日(金)〜12 月2日(日)の期間、ドイツ在住のアーティスト丹羽陽太郎の個展を開催する運びとなりました。

丹羽陽太郎は兵庫県生まれ。武蔵野美術大学、大学院で彫刻を学び、渡独。ブラウンシュヴァイク美術大学に在籍した後、ベルリンに拠点を移し、ドイツ国内外の美術館やギャラリー、アーティスト・イン・レジデンス等での展示を中心に活動しています。

身の回りにある様々なものを使用した丹羽のインスタレーションは、彫刻的な求心力と絵画的な遠心力を併せ持ち、その空間はまるで命を与えられたかのように静かに息づきます。

彼は身近にある雑多な「もの(オブジェクト)」を作品に使用しますが、それらに“生活の役に立つもの”“思い入れのあるもの”といった一般的、個人的な意味を持たせることはありません。それはたまたまそこにあったものであり、偶然に出くわしただけのものなのです。

今回、彼の制作は、「もの」から「情報」と「イメージ」へと置き換えられます。

現代を生きる私たちは、かつてない程の情報の渦の中に身を置き、刻々と更新され、ネットワーク上に上げられる膨大な量の情報から、必要とする情報を探し出し、選び取ることが日常化しています。

「日々目にする大量のビジュアルイメージが凄く自分を刺激しています。一つ一つのイメージを‘消化’する前に。次から次へと新たなイメージ・情報を浴びている。でもふと‘消化’することなどできるのかという疑問が一方であります。たとえイメージ・情報が今日ほど大量にあふれていなかったとしても...目の前の一つのイメージにじっくり向き合ったとしても...」

 

今起こった出来事が、すぐさま世界に向けて発信される。メディアの発達は、伝達スピードの革新とともにあり、情報の伝達のスピードの速さは、その情報の正確さを保証しているかのようです。

 

しかし、実際に起こった出来事が「メディア」という文字どおりのフィルターを通せば、そこには必ず誤差が生じます。そして、こういった情報を享受する我々もまた、与えられたイメージや情報を自らの望む方向に歪め、無意識のうちに情報を操作しているのではないでしょうか。

「一つのイメージを理解・納得し、そこにリアリティを見出すというのはそもそも主観的なもの。イメージや情報は主観によって左右される。」と丹羽は言います。

 

そして、メディアが目的に沿って情報を送り、受け手がその目的を必要として取り込んだとしても、果たしてそこにリアルな世界が成立するのか、と問いかけます。

「与えられる情報、イメージ、ツールをその目的や用途に沿って直線的に考察するよりも、また、ある主題についてその歴史や因果関係を直線的に調査するよりも、 むしろ、大量のイメージ・情報の海の中で、または複数の主題のその狭間や相互関係にこそ、客観的なリアリティを紡ぎ出す法則のようなものがあるのを感じている。」

丹羽は、ひとつのイメージをじっくりと検証し理解、納得し、築き上げて行くというのではなく、むしろ、視点を散漫にし、誤読や誤解、誤差を修正せず、複数のイメージによって一つのことを考えてみることで「現実」をつかむ方法を探ることを試みます。

本展では、「イメージ」の誤読や誤解などを題材に制作。画像イメージ、文字情報に加えオブジェクトが絡み合う、空間全体を使ったインスタレーションを展開します。集められたイメージの断片を繋ぎ、分断するオブジェクティブなものが加わり、物体の持つ物質性がイメージとの関連の中で露になる現実を探る試みを提示します。

会期中イベントを行います。詳細はこちら